介護サービスのない軽費老人ホームの成立背景

介護サービスのない軽費老人ホームの成立背景

老人ホームの形態のひとつとして、現在、「軽費老人ホーム」と呼ばれる施設があります。
定義としては、一般的な老人ホームが法区分上「介護付き有料老人ホーム」と呼ばれ、介護サービスを基本軸としているのに対し、多くの軽費老人ホームでは、基本的に介護サービスを提供していません。では、軽費老人ホームというのはどのような過程を経て生まれたのでしょうか?

 

まず、軽費老人ホームが必要となった背景として、日本の家族形態や仕事環境の変化が挙げられます。軽費老人ホームに入所する高齢者は、条件として身の回りのことが自分自身でできることが要求されます。かつて、このように身体的に問題がなく、通常の生活ができる高齢者は、家庭の中で家事や農作業、孫の世話から資産管理、各種自治体への参画など、社会を支える重要な役割を果たしていました。

 

しかし、農業や手工業から大規模な商工業へと仕事の内容が変化し、勤務地が大都市に集中するようになって以降、地価の高さによる核家族化、共同体の喪失により、高齢者を必要とする機会が減ってしまいました。

 

こうした社会環境の変化から、経済活動に貢献できず、逆に狭い家庭内において経済的負担となってしまい、居場所のなくなった高齢者が増えてしまいました。軽費老人ホームという形態が出現した背景にはこのような社会全体としての問題が内包されています。

 

現在、身体的な不自由がなくとも、家庭の事情は住宅環境の影響により、こうした軽費老人ホームに入所する高齢者が増えています。結果、軽費老人ホームの中で身体が衰え、介護サービスが必要となり、別の養護施設に移る高齢者が後を絶ちません。

 

せっかく環境に適応しても、自身の身体の不調により、また別の環境に移され、精神的にもまいってしまうという悪循環が待っています。今後加速する高齢化社会において、放置できない社会構造上の課題と言えるでしょう。

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